シリアスなのに笑える映画が、なぜ心に残るのか

80年代90年代映画

── 80年代が生んだ「大人のバディムービー」という答え

「重い話なのに、なぜか楽しかった」

前回の記事で紹介した
シリアス × コミカルという80年代映画の魅力。

読み終えたあと、
「そうそう、あの感じだよな」
と、心のどこかが少し軽くなった方もいるのではないでしょうか。

実はこの感覚、
80年代映画が意図的につくり出していた映画の型なのです。


80年代に増えた「真逆の二人」という設定

80年代の映画、とくに印象的なのが
性格も立場も正反対の二人が組まされる物語です。

代表的なのが、前回の「次のおすすめ」で触れたこの3本。

  • 48時間
  • リーサル・ウェポン
  • ブルース・ブラザース

共通しているのは、
最初から息が合っていないという点です。


■ 48時間:最悪の組み合わせから始まる信頼

刑事と犯罪者。
本来なら、同じ車に乗ることすらありえない二人。

映画『48時間』では、
この「ありえなさ」そのものが緊張感を生み、
同時に笑いにも変わっていきます。

仕方なく組んだ
→ ぶつかる
→ 反発する
→ 少しだけ理解する

この流れが、
観ている側の気持ちを自然に引き込んでくれるのです。


■ リーサル・ウェポン:笑いがあるから、重さに耐えられる

一方、『リーサル・ウェポン』は
より心の闇に踏み込んだ作品です。

主人公は、心に大きな傷を抱えた刑事。
放っておくと、物語はかなり重くなります。

そこで登場するのが、
家族思いで少しおしゃべりな相棒。

この存在があるからこそ、
観客は「重さ」から目を逸らさずにいられる。

👉 笑いは逃げ道ではなく、感情を受け止めるためのクッション
80年代映画は、それをよく分かっていました。


■ ブルース・ブラザース:ふざけているのに、なぜか真剣

一見すると完全なコメディ。
暴走する車、騒がしい音楽、突き抜けた演出。

でも物語の芯は、とてもシンプルです。

「やるべきことを、最後までやり切る」

この真っ直ぐさがあるから、
どれだけふざけていても、映画が軽くなりすぎない。

80年代映画らしい、
笑いと誠実さの絶妙なバランスです。


なぜ50代の今、しっくり来るのか

若い頃は、
「面白い」「テンポがいい」
それだけで観ていたかもしれません。

でも今あらためて観ると、

  • 不完全な大人たち
  • 失敗しながら続いていく関係
  • それでも前に進く姿

こうした要素が、
自分の人生と重なって見えてくる。

👉 80年代映画は、大人になってから完成する映画
そう感じる人が多いのも、自然なことです。


次に観るなら、どれからいきますか?

もしまだ観ていない作品があるなら、
まずは気負わず、一本だけで構いません。

  • 今日は少し刺激がほしい → 48時間
  • 人間ドラマを味わいたい → リーサル・ウェポン
  • とにかく元気をもらいたい → ブルース・ブラザース

どれを選んでも、
「シリアスなのに、なぜか後味がいい」
80年代映画らしさを、きっと感じられるはずです。

▶ 次回予告

次は、
「なぜ80年代映画は“男同士の物語”が多かったのか」
という視点から、もう一段深掘りしていきます。

映画は、時代の空気を映す鏡。
そこには、今の時代ではあまり描かれなくなった
「大人の関係性」がありました。

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