忙しない日常の中で、ふとした瞬間に「あの頃の自分」が憧れた男たちの姿を思い出すことはありませんか。
本日ご紹介するのは、1988年の公開から30年以上が経った今なお、色褪せることのない傑作『ミッドナイト・ラン』です。若かりし頃は、派手なアクションやロバート・デ・ニーロのコミカルな演技に胸を躍らせたものですが、時を経て見直すと、そこには当時気づけなかった「大人の哀愁」と「譲れないプライド」が静かに流れていることに気づかされます。
なぜ、私たちはこの不器用な男たちの道中に、これほどまでに心を揺さぶられるのでしょうか。今回は、人生の後半戦を生きる今だからこそ味わいたい、本作の深い魅力について紐解いてまいります。
欠けた者同士が通じ合う、道中の妙味
賞金稼ぎのジャック(ロバート・デ・ニーロ)と、横領犯のデューク(チャールズ・グローディン)。正反対の立場にある二人の、ニューヨークからロスへの大陸横断。
大人になってから見直して胸を打つのは、派手なカーチェイスではなく、二人が交わす何気ない会話の端々に滲む「喪失感」です。かつて信じていたものに裏切られ、何かを失ってしまった男たちが、安物のコーヒーやチキンを突きながら、少しずつ互いの懐に踏み込んでいく。
「もし生まれ変わるなら、別の人生があるか?」 そんな問いかけが、仕事や家庭で責任を背負い続けてきた私たちの胸に、深く、静かに突き刺さります。
至高のラストシーン:アディオスと言える誇り
そして、何と言っても語り継ぐべきは、あのラストシーンです。
空港の喧騒の中、ジャックとデュークが交わす言葉は決して多くはありません。しかし、あの「時計」と「現金」のやり取りには、言葉以上の信頼と、男としてのけじめが凝縮されています。
そして
腕時計です!
主人公デニーロが 別れた妻のことへの
未練が捨てきれず 彼女からプレゼント
されたアンティークの腕時計です…
彼は その時計に執着していたのですが
主人公デニーロがそんな大切にして
いた腕時計をデュークに渡すのです…
自分は もう吹っ切れたんだよ…という
報告、本当に大切な 時計を手放すだけの
相手だという信頼…で! なによりこの
シーンは 観てる側に しあわせの予感?
みたなのを 与えてる感がして…きっと
彼…デニーロはしあせになれる
だろう…
かつてジャックが執着していた、壊れた古い時計。それを手放し、デュークから渡された「本物の友情」を胸に、独り夜の街へと歩き出すジャックの後ろ姿……。 あの背中を見て、皆様は何を感じるでしょうか。 若い頃には単なる「格好いいエンディング」だと思っていた光景が、今では、孤独を抱えながらも自らの足で立つ「大人の覚悟」に見えてはこないでしょうか。
「アディオス(さらば)、ジャック」
その一言に込められた余韻は、酸いも甘いも噛み締めてきた私たち大人にしか、本当の意味では理解できない特権なのかもしれません。
今夜、あの頃の自分と再会するために
もし、今夜の予定がまだお決まりでなければ、ぜひこの至福の126分を、ご自宅でじっくりと味わい尽くしてください。
幸いなことに、現在はVOD(ビデオ・オン・デマンド)という便利な時代になりました。かつてのようにビデオ屋の棚を探し回る必要はありません。
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